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直訴

直訴_d0210004_1134547.jpg高校の頃、斉藤隆介(文)・滝平二郎(挿絵)の本が友だち同士でブームになり、
夢中で読んだ時期があった。斉藤氏の創作民話はどれもみな優しさに溢れたお話しで、
滝平氏のインパクトのある独特の挿絵が物語りを一層引き立てている。
中でも 『ベロ出しチョンマ』 は忘れられない作品である。

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時は江戸時代、日照り続きの大凶作の年、千葉県花和村の名主藤五郎は、
村人を救うために将軍様に直訴を行う。
結果、年貢は軽減されたが、藤五郎、妻、息子長松、娘ウメは磔の刑に。

槍を突きつけられて怖がるウメに、妹思いの長松は叫ぶ。
「ウメー、おっかなくねえぞ。見ろー、あんちゃんのつらー!」 
そして長松は、しもやけを痛がるウメを笑わせるためにいつもしていたマヌケ面
~眉毛をハの字に下げて目玉をぐりぐりとさせ舌をべろっと出す~をしてみせる。

実は本を読むずっと前、小学生の時に学校の観劇教室でこの 『ベロ出しチョンマ』 を観た。
ストーリーのインパクトに加え、来校したプロの劇団の演技にすっかり魅了された。
主人公のチョンマを演じた女優の動きから声まで今でもよく覚えている。

さて、なぜ今〝ベロ出しチョンマ〟なのかと言うと、山本太郎の一件である。
園遊会で天皇陛下に手紙を渡したというニュースを読んだ時、即、浮かんだのが
〝ベロ出しチョンマ〟だったのだ。

世が世なら家族まで極刑に処せられる行為。
月とすっぽん、天国と地獄、神と子羊ほど身分の違うやんごとなきお方に、
直訴するなどはもってのほかなのである。

とまあ、そんな時代は、とっくの昔、江戸時代を以って終了したのかなと思いきや... である。

天皇の政治利用だとか、請願法違反だとか、不敬罪だとか数々の批判が叫ばれ、
大混乱の様相を呈している。中には、不適切だが懲罰には値しないとか、
オリンピック招致に皇室を引っ張り出しておきながら、
山本太郎だけをたたくのは公平ではない、民主主義に反する、といった意見もある。

私は、法律のことはよくわからないが、別にいいんじゃん、と思う。
しかし、あちら側にはあちら側の、下々には考えが及ばないほどの警戒があるのは確かだろう。
長い歴史の中で、何者かが貴人の側に近寄ること、直接何かを手渡すことが、
陰謀や死につながる数々の事件を招いたのだから。
園遊会に招待されるようなプチやんごとなき人たちの中にだって、
そんな輩がいないとは言い切れない。私にわかるのは、大騒ぎになるには、
なるだけの諸々の事情があるんだろう、ということだけだ。

とは言え、いつの時代も、そうした慣習や常識の枠からはみ出し、
突拍子もないことをやらかす人たちが、疲弊や腐敗を突破する起爆剤になり得る。
そういう意味で、山本太郎的若い世代に期待をしたい。

平成の世に磔がなくて本当に良かったが、国民のひとりとして、この問題を世論がどう捉え、
どのように収束するのか、大いに興味がある。

さて、注目議員のお宝行動、判定やいかに!
by linda-monda | 2013-11-03 11:45 | ダイアリー

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